<<アンデス地方の名物料理『クイ(モルモット)』>>
エクアドルアンデスはかなりのアップダウンがあり、一日に何度かの峠越えをすることが多い。中には速度メ−タ−が時速70m/h以上を記録することもあった。
そんなところを走っていたある昼過ぎに、いつものように飯を食える所はないかと思いながら、いくつものアップダウンを越えていた。すると、丁度、峠らしき所に食堂が3件程あり、やっと飯にありつけると思い、自転車を止めた。
店の前には鉄串に刺された焼肉が焼いてあり、こおばしい香りにつられその肉を見に行った。『エッ!!、何これ??』。なんと、その焼き肉というのは鼠の丸焼きに見え、かなり、グロテスクなものだった。
もしかしてとは思いながら、どんな食事をおいてあるのか?食堂のおばちゃんたちに聞くと、どの店でもそのでっかい鼠しか置いてない、と言い、どうしたものかと、考えた。
もし、これを食べずに行って、次の食堂が無かったらどうしようか?。やはり、食えるときに食っておいたほうが得策か?。かなり、悩んだが、結局、その得体の知れないものを食べることにした。
目の前に出されてきたものは、上半分のもので、丁度、「今から、俺を食うのか?」とでも、話しかけられているかのような感じで、こちらを睨んでいた。
持っていたガイドブックにそれはアンデス地方の名物料理:クイ、モルモットと書いてあった。もっと、別の書き方はなかったのだろうか?どうも、モルモットという響が良くない。かなり、気味が悪かったが、それでも、何事も経験だと思い、試してみた。
あまり、肉はなく、皮ばかりで、ボリュ−ムがなく、あまり、腹のたしにはならずに、そのくせ、高かった。味の方は鶏皮のもっと薄いのを食べている感じで、まずい、とは思わなかった。
その後、現地で友達になった人に言わせると、多くの人が好物だ、とは言っていた。ただ、クイを食べたのはそれが最初で最後だった・・・。
<< 貧しい心 >>
旅をする前に、あまり、アンデス地方についての勉強はしていかなかった。そのためもあってか、アンデスの民というイメ−ジをかなり誤解していた。
今回の旅でアンデスが現実にはなかなかそういうわけでもなく、自分自身がやはり、金持ち日本人旅行者だというのが、身にしみてよく分り、日本にいたときは自分よりも良い生活をしている人達に囲まれていて、そう大して裕福だとは感じなかったが、いざ旅に出るとそんな考えは吹き飛んでしまい、日本人の裕福さがよく分かる。
実際、現地の人々にとって、外国に一年間も旅行に行くなんていう考えは思いもよらないことだと思う。今の世の中ほど情報が飛び回り、世界が狭くなり、全てが『お金』という時代になった以上、よほどの奥地へ行かないとお金とは無縁の世界などありえないのだろう。
現地の人にとっては外国人旅行達は、やはり、お金を持った存在なのだとは思うが、そのうちの旅行者の多くは何とか節約をし、切り詰めて、旅をしている。なんとなく寂しいことだが、お金というものによって人間関係が大きく左右されてしまうのは、もはや仕方のないことだというのがよく分かった。
でも、中にはそんなものにはとらわ れていない人々もいるが、彼等はある程度、裕福な人々なんだと思う。
長く旅をしていて、自分自身、『余裕』というものをどこかに落としてきた為か、南米という響がそうさせているのか分からないが、目に映る全ての人々がそういう風に見えてしまう。
いつの日にかもっと、素直に人々と向かい会える日が来ればいいのに。
<< アンデスの廊下を縦断! >>
とうとう[Cuenca(クエンカ)]まで来た。これで、アンデスの廊下と呼ばれる区間は完走した。
もう、しばらくの間は3000m級の峠を越すことはない、と思うと嬉しいやら寂しいやら、ちょっと複雑だ。
クエンカの町に到着する前に3500m付近から一気に2500m付近まで下ったので、今までの苦労がやっと実り、かなり、快適なサイクリングを楽しんだ。
今、いるホテルは何もかもが最高で、値段も手ごろで、部屋の照明が明るい。そして、何よりも感動したのがシャワ−のお湯で、とにかく熱く、少し水を足したくらいで、また勢いも良く、大量の水を浴びることができ、まるで風呂にでも入ったかのような気分になった。
昨日の夜中から下痢。
朝方、胃の中のものを全て吐き出したので少し、楽になった。日本ではありえないくらいの下痢にも慣れたとは思っていたのだが、どうも駄目だ。原因はたぶん路上で売っていた酒を飲んだ為だと思う。焼酎らしきもので問題はないと思うのだが、どうもコップが汚い。3つしか置いてなく、使えばバケツの水で洗うのだが、この水がかなり汚そうだ。
あと、原因と思われるのは、アサ−ダと呼ばれるバ−ベキュ−にやられたのかもしれない。一応、ちゃんと火は通してあるはずなのだが、衛生上必ずしもきれいとは言えないし、何よりも何の肉のバ−ベキュ−かさえも分からない。こんな調子なら、いつ、肝炎やコレラにかかってもおかしくないな、という気がした。
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