<<日本に向けて・・・>>

 世界最南端の街に到着したのは良いが今一つ実感がわかない。
今朝目覚めてみてもいつもと同じ感じで特に違和感もない。変わったことと言えば、朝飯がご飯ではなくパンに変わったということ、そして、もう自転車にまたがなくてもよくなったということぐらいだ。この街に来たらもっと何か感じるのかと思っていたのでちょっと拍子抜けっていうくらいで、やはり日本に帰り着かないと実感もわいてこないのだろうか?

 とにかくもう3月になってしまって一刻も早く日本に帰りたいがバスの都合などもあってこの町にもう少し滞在しないといけない。日本へ帰るチケットを持っていなかったのでここからどういう風に帰れば良いのかといろいろと考えたが、限られた予算内ではどのル−トもかなり厳しかった。
 そんな条件でもある区間だけはどうしても飛行機を使いたい場所があって、うまくその区間のチケットを買うことができた。
 その区間とはパタゴニアの氷河群を上空から見ることができるというル−トで、すごい贅沢なル−トで、もちろんバスなどと比べるとかなり値は張るけどパタゴニアを代表するパイネ公園のグレイ氷河、ペリト・モレノ氷河など数々の氷河やヒィッツ・ロイなどが地上から見るのとはまた違った表情を見せてくれるので、いつもは高い!というイメ−ジの飛行機も一種のツア−にでも参加した気分で捉えることができた。

 サンチャゴの街に着くと早速日本へ帰るチケットを探しに歩き回った。聞いた話によると学割の利く代理店があるというので探しまくり、ようやく見つけたときは嬉しかったが、肝心のチケットがキャンセル待ち状態だったので、2日後に電話確認で「Todo bien!(全てOKだ!)」と言われるまでは気が気でなかった。

 3月9日(月)、ラン・チリ航空LA129便は定刻15:50にサンチャゴ空港を飛び立った。まずはサンチャゴ(チリ)〜ブエノスアイレス(アルゼンチン)への飛行で途中でアンデスを越えるので期待していたのだが残念ながら南米大陸最高峰のアコンカグアとは別の窓側だったので見ることはできなかった。

 約2時間後、無事ブエノスアイレス空港に到着し、次の飛行機(マレ−シア航空)への乗り継ぎの手続きの為にカウンタ−に並んでいると、女性がチケットを見せてくれと言うので、チケットを見せると「このチケットはアルゼンチン国内で買った物じゃないから空港使用税を払え!」と言いだし、このチケットを買うときに空港税を払わなくても良い、と聞いていたし、「トランジットの場合の空港使用税はいらないはずだ!」と、いくら言ってもらちがあかなかったので仕方なしに払った。

 金額にすればUS$16で、ほとんどキャッシュを持っていなかったので辛かったが、それ以上に払う必要のないところで払わされたのがむかついて仕方なかった。
 やっと空港税のことで落ち着いたと思っていたら手続きカウンタ−では「自転車はUS$131払え!」と言われ、「エッ!?何で?」と思い、抗議した。「他の空港でも今まで一度も請求されたこともなかったし、払ったことはない!!!(ただし関空では払わされたけど・・・)」と言い、今までに利用した飛行機会社と区間を順番にあげていった。もちろん、以前にマレ−シア航空の利用もしているので そのことも言い、最後に「ほんとにここはマレ−シア航空なんだろうな?」なんて言うと、「ちょっと待ってろ!」と言われ、待つことにした。内心はここでUS$131も請求されると払えないし、どうしよう?と真剣に落ち込んでいた。
 しばらくしてさっきまでやり取りしていた人が来て「OK!タダで良いよ!」と、めちゃくちゃ嬉しかったが、さっきの空港税に続いてなので何でもお金が必要だったのでかなり興奮していた。

 今までにもそうだがスペイン語や英語でのやり取りの大抵の場合、こちらの主張は通るのだが、いつも後味が悪い。たぶんこちらのスペイン語は不十分なのでかなりキツイ言葉遣いになっているんじゃないかと思う。たとえ、相手と言い争いになっていても相手に対してかなり失礼なことを言っているんじゃないかと思うこともある。中途半端に外国語を喋れるようになるとそういった面で注意しないといけないな−、といつも感じてしまう。まあ、とにかくなんとかこういう場面でも対応が取れるようになったので、それだけでも大きな成果だった様に思う。


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