−Fogata号の軌跡−

<<チリ・プエルトモンに日本人チャリダ−集合、まさかの再会!!!>>



 もう1月も終わろうとしている。日本へは大学が始まる4月までには帰らないといけない。もう残された時間は一ヶ月少々、多くて2ヶ月くらいだ。

 プエルトモンには漁港があり、美味いシ−フ−ドが安く食べられるというので早速アンヘルモという漁港に行った。市場に入るとあちこちから「ウニ美味いよ!!!」、「魚、シャケ、シャケ!」などと、誰に習ったのか片言の日本語で話しかけてくる。多くの外国人がこの地を訪れるが実際に店に入るのは日本人ばかりらしく、今までに無いほどの歓迎を受けた。

 適当な店に入り、貝を頼んだら大きなお皿に山盛りの貝を出してくれ、これでもか−っていうほどたらふく食べ、かなり大味ではあったが、久々のシ−フ−ドに満足し、明日もまた来よう!と市場をでた。

 市場の入り口には土産物屋が多く立ち並んでいて、ぶらぶらとその辺をうろついていると、見なれた形の自転車を2台見つけた。海外を走るサイクリストは大抵マウンテンバイクかクロスバイクに乗っているんだが、その自転車は紛れも無く日本製の「ランドナ−」というタイプの自転車だった。すぐに目にとまり近づいてよく見てみると「JACC(日本アドベンチャ−サイクリングクラブ)」のステッカ−を見つけ、日本人の自転車だというのが分かった。誰の自転車なんだろうと辺りを見回していると、五分もたたないうちに2人の日本人が近づいてきて、話しかけてきた。
 後から聞いた話では自分らの自転車に怪しい奴がうろついているので急いで戻ってきたらしい。この頃、確かに髪の毛も長く国籍不明でうさんくさかったかもしれなかったが、日本人にでさえ日本人として見られない自分って一体?って感じだ・・・。しばらく話をして、明日ここでメシを食おうという事になって別れた。二人の名前は藤本さん、高嶋さんと言い、途中から一緒に走っているらしい。

 翌日、約束の時間に彼らと落ち会い、一緒に飯を食った。3人もいたので市場でいろいろなものを頼む事が出来、いろいろなシ−フ−ドを堪能することが出来たが、やっぱりどれも大味だったが美味かった。

 市場から出ようとしたとき前から怪しい日本じんらしき人が現れ、お互いの目が合った瞬間に「ア!!!なんでここに?」とほぼ同時に口々に言った。なんと、メキシコのペンション・アミ−ゴという日本人宿で出会い、アミ−ゴに来た日も同じで、出た日も同じで同室だった瓢子夫妻の旦那さんのほうのトシさんだった。
 お互いがまさか今ごろここにはいないだろうという信じていたので、ほんとに不思議な偶然の再会に驚いた。市場の外に奥さんの慶子さんもいるということなので早速会いに行った。相変わらず慶子さんも元気そうで日本の裏側の小さな町で5人ものサイクリスト達が偶然出くわしたのはほんと怖いくらいの偶然だった。とりあえず、その夜にみんなで夕飯を食べようということになり別れた。

 夕方、待ち合わせの場所で再会し中華レストランに行き、まずはワインで乾杯し、御馳走を前に久々の再会とお互いの旅について話が盛りあがった。その後、酒とつまみを買い込んで高嶋さんと藤本さんの泊まっているホテルに行き更に話が盛りあがった。みんなすっかり顔が真っ赤になるまで飲んで、ほんとに上手い酒を飲む事ができこれからのお互いの旅の無事といつか再会することを願って彼らのホテルを後にした。

 高嶋さんと藤本さん、瓢夫妻と目的地はみんな世界最南端の町ウスアイアということで同じだったにも関わらず全く進んでいくル−トが違っていて、こういうのもなにか不思議なものを感じずにはいられなかった。高嶋さんと藤本さんは一日早く出発していたのでその日は瓢夫妻と一緒に市場でシ−フ−ドをたらふく食べ、翌日の出発の日は船に乗船する直前まで見送りに来てくれ日本での再会を願い硬い握手をして別れた。


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